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万年筆を持つことになった

  知人から譲り受けた。わたしの小さな人生で初めての万年筆との対面である。ボディは真鍮とのことで鈍くかがやいている。使ううちにくもるが、磨けばリカバーするという。少し細身だろうか。イメージしていた万年筆より、ちょっとスレンダーな美しいものである。 

  筆記具といえば、ある香港人のことを思い出した。広東語を習うために集まった学生たちを前にして先生は、「日本人シャープペン使うでしょ。香港ではあり得ない。子供が使うものだよ。大人はボールペン使う」と、おっしゃった。子供だったわたしには印象的な話だったから、今でも覚えているのだろう。 今のわたしは普段の仕事で、フリクションを使っている。

  万年筆はフリクションと全然違う。繊細で素敵な手間のかかる筆記具を手にするのも、なかなかいいものだと思った。

  雨の季節だから、また一つ思い出した。香港人の先生は、日本では多くの人が少しの雨にも備えて傘を持ち歩き、霧雨ていどの雨にもそれを開くことについて、違和感をお持ちのようだった。これについては今でもまったく同意で、わたしは今、傘はなるべく持ち歩かず、少しの雨なら目的地へ走る。そのような習慣は先生の影響だと、先ほど思い当たった。