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『生きるための文学』プチグラパブリッシング

    箱入り、シンプルできれいな装丁。

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坂口安吾『風と光と二十の私と』

有島武郎小さき者へ

宮本百合子『生活のなかにある美について』

梶井基次郎Kの昇天

高村光太郎『智恵子の半生』

中原中也『亡弟』

堀辰雄『窓』

 

    以上の作品を集めた短編集。書名が『生きるための文学』、帯には「今、生きている実感」とある。ちょっと、風呂敷が大きすぎる感がある。

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  各作品の初出情報の記載がない。どこにいつ載ったのかくらいは書いておいてほしい。宮本百合子のなんて、暮らしと日常の美がテーマなのに、いつの時代の話かわかりにくいし。文中に「十五銭」と出てきてようやくわかる。

    有島武郎の『小さき者へ』がよかった。何がいいかといえば、出産シーン。「小さき者」のうちの一人が産まれる場面だ。有島とその妻は3人の子を成した。そのうちの1回は難産であったらしく長時間に及び、途中に産婦の昏睡状態をはさみながらようやく産まれるのだが、描写に凄みがある。今も昔もお産に「普通」はないというが、“お産シーングランプリ”のようなものがあれば、わたしはこれを推したい。