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チャールズ・ブコウスキー『ブコウスキーの酔いどれ紀行』中川五郎訳 マイケル・モンフォート写真 ちくま文庫

 昔、まわりで彼を読んでいる人が多かった。

 「いいよ。ほんとうに」と熱心に薦める人、「まあ、おもしろいよ」と乾いた笑みを口元に浮かべる人、「いいんだよなー」と独り言のように言いながら視線が遠いところへ飛んでいく人、いろいろな人がいた。今、みんなどうしてるかしら。

 大学近くの古本屋で見つけたときにすぐに買ったがなぜか読まなかった。何回かの引っ越しを経ても常に本棚の一番奥にあり続けたが、今の家では本棚をもつことをやめて床に積んでいる状態で、たぶんどこかにある。今年ちくま文庫に入ったらしく、書店で平積みされているのを手に取って見たら、思わず買ってしまった。だぶり本になった。まあ、いいか。

 今回読んで思ったのが、ハードカバーを買った昔あの時に読んでいたら、わたしは詩人の生きざまのほんの一部にかぶれて酒の飲み方を真似、急性アルコール中毒となって病院に行っただろうな、ということだった。タイトルに「酔いどれ」とあるが、ほんとうにひどくひどい飲み方だ。ヨーロッパ滞在中、彼の二日酔いは続く。ちりちりする。ちりちりちり。赤ワインが飲みたくなる。

 写真がいい。同行した写真家のマイケルが撮った。写真についているキャプションもいい。キャプションはすべて、ブコウスキーによる本文から採られている。全部はほんとうじゃない、ひどく酒臭いなかにほんの少しの無垢がある紀行文。